妄想小説

このブログでは短編小説を書きます。小説を書くどころか本もあまり読まないので読みにくいかもしれませんがご了承ください。

サークル長

4月のはじめ、私は友達の家にいくために高田馬場にいた。

 

べろべろに酔った人や疲れ切った顔をしたサラリーマン達が乗った電車に私も乗り高田馬場に着いた。

 

私は東京に来て3年になるが、高田馬場に来たのは初めてだった。出口を出ると早稲田通りの脇にあるコンビニや飲食店、ドンキホーテがお客さんを呼び込むかのように光がついていた。

駅の出口の前にある広場には喫煙所があり広場のあちらこちらに大学生の集団があった。大学が近くにあるということもあり学生の街という印象を受けた。周りのお店のチョイスも納得できる。

 

友達との待ち合わせがその広場だったので私は喫煙所でタバコを吸って待っていた。喫煙所から話が聞こえるぐらいの距離に一つの学生と思われる集団があった。

人数は15人ほどで男女半々ぐらいその中の1人の男性が皆に向かって喋っている。

「今日はお疲れ様でした。定期的に飲み会があるのでまたよろしくお願いします」どうやらサークルかなにかの飲み会らしい、4月ということもあり集団の中には大学生活に染まろうとさっそく金髪にしたような男女やまだ高校生らしさが残る男女が何人かいた。おそらく皆に向かって喋っていたのは4年生でサークル長的な存在の人だと思う。その脇には副サークル長のような存在が3人サークル長の両脇にいた。サークル長の話が終わると円になっていた集団がばらばらに散らばっていった。どうやら解散したらしい、

 

解散するとサークル長と副サークル長達が喫煙所に入ってきた。タバコに火をつけタバコを吸い出すと彼らが4人で話し始めた。

 

「どう?どう?」サークル長が副サークル長の3人に何かを聞いている。「おれ、さきちゃん」副サークル長の1人が答えると「おれも」「おれも」ともう2人の副サークル長も答えた。「だよなーやっぱさきちゃんだよなぁー」どうやらサークルの中の女性で誰がタイプか話しているようだ。男同士の会話だなー親近感が湧くも集団でいたときの凛とした態度が変わって少しだけ下品に見えた。

 

その後もそのさきちゃんについて話をしている。「おれこの間さきちゃんと手合わせしたんだけど、やっぱりすごいよ」「おれもこの間やったけどめっちゃうまかった」サークル長と副サークル長が喋っている。私の中で彼らの印象がどんどん下品になっていく。まるで、人間の表裏を一気に見たようだ。

 

私は友達からもう着くよとラインが来たのでタバコを吸い終えて喫煙所を出ようとした時、サークル長が「やっぱ次のサークル長はさきちゃんだな」というと副サークル長も「そうだねテニスめっちゃうまいし」彼らは誰がタイプかではなく次の世代のサークル長の話をしていたようだ。私は「ごめんなさい」と心の中で言い喫煙所をあとにした。