妄想小説

このブログでは短編小説を書きます。小説を書くどころか本もあまり読まないので読みにくいかもしれませんがご了承ください。

ヘビーメタル

今日は休日。

 

友達に誘われてライブを見に行くことになり、ライブ会場の渋谷にいた。僕はライブに行くのは3回目ほどでライブというものをあまりわかっていなかった。

 

音楽は好きでいろんな種類の音楽を聴くが今日のライブはヘビーメタルバンドのライブ。

 

友達に誘われた時はあまりライブに行かない僕にとってはハードルが高いと思ったが、これも社会経験だと思い行くことにした。

 

友達と渋谷駅で待ち合わせライブ会場へ向かった。会場に近づくにつれていかにもヘビーメタルが好きかのようなファッションの若者が目に入ってきた。一緒に行った友達は会場にいても浮かなくて街にも溶け込めるような格好で来ていた。僕の服装はジーパンにパーカーだ。会場に入る前から少し浮いているなと感じた。

 

会場に着き中に入ると思っていたとうり会場に着く前にちらほら見ていたヘビーメタルのファッションをした若者たちがほとんど会場を埋め尽くしていた。

ステージでは次のバンドがチューニングやら機材の準備などをしていた。「前の方へ行こうぜ」と友達が言うので人混みをかき分け出来るだけ前に行った。

 

ジャーンというギターの音が鳴りあたりが静まりかえった。いよいよ始まるとステージ集中していると「会場の中央には行くなよ」と少し笑みを浮かべながら友達がぼくに行った。後ろを振り向くと会場の中央がぽっかり空いている。「なんで空いてるの?」と僕が友達に聞くとジャーンとまたギターの音が鳴り理由を聞かないままライブが始まってしまった。

 

ライブが始まると皆頭を上下に振り回してライブを楽しんでいて、僕も見よう見まねに頭を振った。すると背中にドンと衝撃が走る。

後ろを振り向くとぽっかり空いていた中央で若者が何人か狂ったように暴れている。僕は身の危険を感じ会場の端へ逃げた。あとで友達に聞いたのだが、モッシュというものらしい。ヘビーメタルの儀式のようなもので盛り上がるとやるらしい。

僕の未知の世界を知った日だった。

 

 

散歩

僕の日課は散歩だ。

 

休みの日は2時間から3時間は散歩をする。朝起きて歯磨き、シャワーを浴び服を着て散歩に出かけるのが休日の始まりだ。家を出て少し歩くと交差点があり左に曲がるとコンビニがある。いつも僕はそのコンビニでおにぎりを2つとお茶を買って飲み食いしながら散歩を続ける。

 

起きたのは昼過ぎ平日の道を歩くのは何か目標に向かって歩く人と僕のように散歩を日課にしている老人ばかりだ。僕と同じ年代の人はおそらく休みの日は友達と遊んだりショッピングに行っているのだろう。

ただ僕は休みの日ぐらいは人と関わらず自分1人の時間を楽しみたいのだ。なぜ散歩かというと1人で楽しむものは世の中にはたくさんあるが、どれもお金がそれなりにかかってしまう。ただ散歩にはなにも必要がない。脚さえ動いてくれれば何も必要がないのだ。

 

それに散歩をしていると無になれる。日頃人はいろんなことに意識をむけている。その意識を無にしてくれるのが散歩だ。空気を感じて車が走る音木々が風でゆれ音を立てている。それを感じると僕は生きていると実感する。僕はフリーターで世の中には必要ない存在なんだと思うこともあるが散歩をすると生きてると実感する。

 

おおごとかもしれないが、僕にとって散歩はそれほど大事なもので僕を世の中に立たせてくれている存在なのだ。

サークル長

4月のはじめ、私は友達の家にいくために高田馬場にいた。

 

べろべろに酔った人や疲れ切った顔をしたサラリーマン達が乗った電車に私も乗り高田馬場に着いた。

 

私は東京に来て3年になるが、高田馬場に来たのは初めてだった。出口を出ると早稲田通りの脇にあるコンビニや飲食店、ドンキホーテがお客さんを呼び込むかのように光がついていた。

駅の出口の前にある広場には喫煙所があり広場のあちらこちらに大学生の集団があった。大学が近くにあるということもあり学生の街という印象を受けた。周りのお店のチョイスも納得できる。

 

友達との待ち合わせがその広場だったので私は喫煙所でタバコを吸って待っていた。喫煙所から話が聞こえるぐらいの距離に一つの学生と思われる集団があった。

人数は15人ほどで男女半々ぐらいその中の1人の男性が皆に向かって喋っている。

「今日はお疲れ様でした。定期的に飲み会があるのでまたよろしくお願いします」どうやらサークルかなにかの飲み会らしい、4月ということもあり集団の中には大学生活に染まろうとさっそく金髪にしたような男女やまだ高校生らしさが残る男女が何人かいた。おそらく皆に向かって喋っていたのは4年生でサークル長的な存在の人だと思う。その脇には副サークル長のような存在が3人サークル長の両脇にいた。サークル長の話が終わると円になっていた集団がばらばらに散らばっていった。どうやら解散したらしい、

 

解散するとサークル長と副サークル長達が喫煙所に入ってきた。タバコに火をつけタバコを吸い出すと彼らが4人で話し始めた。

 

「どう?どう?」サークル長が副サークル長の3人に何かを聞いている。「おれ、さきちゃん」副サークル長の1人が答えると「おれも」「おれも」ともう2人の副サークル長も答えた。「だよなーやっぱさきちゃんだよなぁー」どうやらサークルの中の女性で誰がタイプか話しているようだ。男同士の会話だなー親近感が湧くも集団でいたときの凛とした態度が変わって少しだけ下品に見えた。

 

その後もそのさきちゃんについて話をしている。「おれこの間さきちゃんと手合わせしたんだけど、やっぱりすごいよ」「おれもこの間やったけどめっちゃうまかった」サークル長と副サークル長が喋っている。私の中で彼らの印象がどんどん下品になっていく。まるで、人間の表裏を一気に見たようだ。

 

私は友達からもう着くよとラインが来たのでタバコを吸い終えて喫煙所を出ようとした時、サークル長が「やっぱ次のサークル長はさきちゃんだな」というと副サークル長も「そうだねテニスめっちゃうまいし」彼らは誰がタイプかではなく次の世代のサークル長の話をしていたようだ。私は「ごめんなさい」と心の中で言い喫煙所をあとにした。